PML境界条件 PML boundary conditions


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PML境界条件 PML boundary conditions

目標

このセクションでは、PML吸収境界を使用する場合についての検討が行われます。新しいPML境界条件が、FDTD と varFDTDソルバーの2015aリリースで導入されています。新しいPML境界条件は、Gedney と Zhaoによって提案された拡張座標公式(stretched coordinate formulation)を基にしています。

概説

PML吸収境界条件は、シミュレーション領域とその中の材質に対し、インピーダンス調整されています。これにより、最小の反射をもった電磁場の吸収(伝搬電磁場とエバネッセント波の両方)の吸収を行います。理想的PML境界は、反射はありませんが、実際は、基になるPML方程式の不連続性により多少の反射が存在します。さらに、PML方程式を不連続にする有限差分近似の使用に起因する、数値的不安性を生み出す可能性があります。
このセクションの目的は、反射誤差を最小にし、不必要なシミュレーション時間の延長をすることなしに数値的不安性を取り除く最善の方法を示すことです。

PMLタイプ

新しいPML境界条件が、FDTDとvarFDTDソルバーの2015aリリースで導入されました。この新しい方式は、Gedney and Zhao2によって提案された、拡張座標公式(stretched coordinate formulation)を基にしています。 従来のPML方式(単一軸異方性材質公式(uniaxial anisotropic material formulation)を基にした)は、今でも使用することができ、新PMLタブがPML設定タブで設定されるまでは、プロジェクトファイルで従来のPMLを続けて使用することもできます。

PMLプロファイル

FDTD、またはvarFDTDシミュレーション領域で、選択されたPML境界の吸収特性を制御するパラメータの設定が可能です(スクリーンショットを参照願います。)。PMLパラメータセクションを利用するために、境界条件タブ下のPML設定表を利用することができます。ほとんどのシミュレーション設定では、あらかじめ定義されたプロファイル(standard, stabilized, steep angle と custom)の1つを選択し、PML層の数を調整して下さい。 全てのプロファイルに関して、PML層の数を増やすと、反射量が減少します。各プロファイルは、異なった数値的ふるまいを持ち、特定の応用を目的に作られています。

PMLプロファイルオプション
標準(Standard)
標準プロファイルは、かなり少ないPML層数でもよい吸収を与えるように設計されています。PML層の大きな層数は、シミュレーション時間を極端に増大させます。従って、残りの他のプロファイルの選択をする前に、標準プロファイルを試してみて下さい。シミュレーションが、PML領域を走る材質境界を含まない場合は、標準プロファイルは、最も賢明な選択でしょう。一般的に、PML境界は、構造物がPML領域を完全に貫く場合に、もっとも良い性能を与えます。材質境界がPML領域を走る場合は、次の安定プロファイルを適用する必要があるかもしれません。
安定(Stabilized)
材質境界がPML領域を走る場合は、数値的不安定性が現れるかもしれません。これらは、PML領域(通常材質境界の近く)の内側で、場の振幅が局部的に 指数関数的に増大することによります。PML領域内で発生するほとんどの数値的不安定性は、この安定プロファイルの使用により避けることができます。この安定プロファイルは、標準プロファイルと同等の吸収能力を達成するためにより多くの層数が必要です。安定プロファイルは、PML層数の増加と引き換えに、より高い安定性を達成するように設計されています。
急角度(Steep Angle)
急角度プロファイルは、標準プロファイルに非常に似ていて、PML境界が、周期境界条件と共に使われる時に使われます。急角度プロファイルは、電磁場がPML境界にほぼ平行に移動する場合、吸収効率を高めるように設計されています。急角度プロファイルは、1波長あたり10点以下の非常に粗いメッシングでは、標準プロファイルより少ない吸収となります。
カスタム(Custom)
標準・安定・急角度プロファイルは、固定PMLパラメータをもっています。カスタムプロファイルは、全てのPMLパラメータを設定するような、実験的な使用が可能です。カスタムプロファイルのパラメータ初期値は、標準プロファイルと同一です。

Setting PML parameters for boundaries in all diections

異なる境界への異なるプロファイルの使用

PMLプロファイルは、各PML境界に対して個々に設定することができます。このオプションは、PML設定表の上にある、“SAME SETTINGS ON ALL BOUNDARIES” のオプションのチェックを外すことによって使用することができます。このオプションにより、変更を必要とする境界に対して、例えば、層の数を増やすような場合に変更を加えることができます。

異なった境界に対して、異なるPMLプロファイルを使用することで、シミュレーション時間の大幅な短縮が可能になります。例題に示された3DシミュレーションのPML設定表で、x min境界だけに安定プロファイルが使用されているのがわかります。全ての境界に安定プロファイルを使用すると、シミュレーション時間が極端に長くなります。そこで、実際に必要な境界の層数を増やすことをお薦めします。

FDEシミュレーション領域で、PML境界の吸収特性を制御するパラメータを設定することができます。最初から、FDEソルバーは、拡張座標PML方式を採用しています。FDTD と varFDTDソルバーと異なり、FDEソルバーは、あらかじめ設定されたプロファイルはなく、固定層数が採用されています。

PMLパラメータ

通常の境界条件と異なり、PML境界は、有限の厚みを持っています。言い換えると、PML境界は、シミュレーション領域を囲む有限の体積をもちます。この領域内で、光の吸収が行われます。
•LAYERS: 分割を目的としてPML領域は層に分割されます。
•KAPPA, SIGMA, ALPHA : PML領域の吸収特性は、これらの3つのパラメータによって制御されます。
これらの定義は、このページのはじめの参照〔2〕で定義されています。
Kappaは、定義によって無次元で、sigmaとalphaは規格化された無次元の値を、PML設定表に入力しなければなりません。Kappa, sigmaとalphaは、多項式関数を使ってPML領域で全て階級分けされています。パラメータalphaは、しばしば文献の中で、複素周波数シフト(CFS)として記述されています。その主要な役目は、数値的安定性を増すためです。alpha / sigmaの比率を増大させることは、PML境界をより安定化しますが、吸収効率は減少します。これが、安定のプロファイルで大きな層数が使われている理由です。Alphaとsigmaの値をS.I.単位に変換するには、それらの値に真空中の誘電率の2倍を掛け、シミュレーションで使用される時間ステップで割る必要があります。
•POLYNOMIAL: kappa とsigmaの階級分けに使われる多項式の次数
•ALPHA POLYNOMIAL: alphaを階級分けする多項式の次数
•MIN LAYERS, MAX LAYERS: これらは、PML層数の限界を設定します