無損失(lossless)材質の生成


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無損失(lossless)材質の生成

目標
このページでは、シリコンや金など 実際の材質の無損失(lossless)バージョンを生成する方法を示します。
この方法は、あまり勧めることはできません。なぜならば、高精度での材質フィッティングを得ることが難しいか、あるいは不可能であり、シミュレーション結果の解釈が非常に難しくなるからです。しかしながら、無損失材質を生成しようとする方には、このページは多少役に立つでしょう。

概要
場合によっては、無損失(‘lossless’)バージョンの材質生成を望まれることがあります。例えば、シリコンベースのフォトニック結晶キャビティ研究では、シリコン材質による吸収効果を取り除き、フォトニック結晶構造からのリークによる損失を簡単に研究することができます。無損失バージョンの材質を生成するためには、屈折率または誘電率の虚数部を0に設定します。

この方法による問題点

広帯域フィッティング
残念ながら、この方法には大きな問題が存在します。広帯域波長全体で、無損失材質の高精度のフィッティングをMaterial Explorerで見出すことがしばしば困難、あるいは不可能です。もし、良いフィッティングが得られない場合は、シミュレーション結果が正確にはなりません。もし、良いフィッティングが得られないけれども、無損失材質の研究を進めたい場合は、一連の単一周波数シミュレーションを実行しなければなりません。この問題は、光源の波長領域が400-700nmのような広帯域シミュレーションの場合にのみ存在し、一連の単一周波数シミュレーションの実行により回避することができます。この実行にはparameter sweeps機能を使います。
結果の解釈
材質の吸収は基本特性のため、単純に吸収を0に設定することは、予想外の結果をもたらすかもしれません。従って、材質の吸収を人工的に0に設定する時は、シミュレーション結果の解釈に注意しなければなりません。

ステップ1: データベースでの無損失材質の生成
材質データベース内での無損失材料の生成は簡単です。下記のスクリプトは、無損失屈折率データを含んだテキストファイルを生成するために使われます。基本的に、屈折率データを取得し、それから屈折率の虚数部を0に設定します。実際的には、0でなくある非常に小さい値、例えば1e-6を設定します。これは、0でない数字が、材質データフィッティングルーチンで問題を起こしにくいからです。

注意: もし、屈折率でなく誘電率の虚数部を0に設定したい場合は、2行目と3行目の間に “n=n^2;” を加えて下さい。
テキストファイルの生成が終了したら、Creating sampled data materialsページの手順に従って、Material Databaseにインポートして下さい。関連した例題のシミュレーションファイルでは、Material Databaseにすでに無損失の金と無損失のシリコンの材質があります。

ステップ2: Material Explorerで材質フィッティングのチェック
Material Explorerを使用して、対象のデータのシミュレーションに使われる材質フィッティングが、指定されたデータに非常に近いことが確認できます。無損失材質生成した場合は、良いフィッティングを得ることができないことがしばしばあります。下記のスクリーンショットには、標準的なシリコンと金の材質フィッティングと、それらの無損失材質のバージョンのフィッティングが示されています。無損失シリコンのフィッティングに関しては、完全ではありませんが、受け入れられるものです。しかし、無損失の金の場合は、フィッティングがよくありません。無損失の金のデータの良いフィッティングを得ることは難しいです。

無損失シリコンのフィッティング:

標準シリコン材質フィッティング
標準フィッティングは、400-700nmの波長領域で良いフィッティングが見られます。

無損失シリコン材質フィッティング
フィッティングはかなり良く、少なくとも虚数屈折率スケールを一定に保つ場合は、かなり良いです。

無損失シリコン材質フィッティング
虚数部を拡大すると、フィッティングが完全でないことがわかります。フィッティングの虚数部は0から1e-3の間で振動しています。
無損失金のフィッティング:

標準金材質フィッティング
標準的フィッティングは400-700nmの波長領域で良いです。

無損失金材質フィッティング
材質フィッティングは、屈折率の実数部と虚数部で非常に悪いです。

ステップ3: テストシミュレーションの実行
関連したシミュレーションとスクリプトファイルは、材質のフィッティングのテストに使うことができます。下記の結果を得るには、4回のスクリプトを実行して下さい。スクリプトの各実行で、データベースから異なった材質を選択して下さい。

標準シリコン
赤の吸収が非常に大きいことに注意して下さい。

無損失シリコン
吸収が非常に小さいことに注意して下さい。しかしながら、吸収は完全には0でなく、これは材質フィッティングの虚数部が0でないためです。

標準金
これは、金の板の反射と吸収スペクトルを表します。

無損失金
吸収が非常に大きいことに注意して下さい。これは、材質フィッティングで大きな虚数部に起因するものです。これらの結果はあまり意味のあるものではありません。なぜならば、材質フィッティングが良くないからです。