ブロッホ境界条件 Bloch boundary conditions


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ブロッホ境界条件 Bloch boundary conditions

目標

このセクションでは、ブロッホ境界条件(Bloch Boundary Conditions)が どのような時に使用されるか、また、周期境界条件との違いについて説明します。

ブロッホ境界条件は、様々な状況で使用されますが、最も一般的な場合では、平面波光源が、周期構造に対してある角度をもって照射するシミュレーションの場合に使用されます(下の図を参照)。
BFAST平面波が使用される場合は、ブロッホ境界条件は自動的に無視され、組み込み式境界条件が使用されます。

平面波光源によって照射される周期構造

ブロッホ境界条件は、上のスクリーンショットで示されるように、周期構造が平面波光源によって照射される場所の周期境界条件と比較すると最も理解しやすくなります。周期境界条件は、シミュレーション領域の一方の端での電磁場を、反対側にコピーします。ブロッホ境界条件は、周期境界条件と非常に似ていますが、シミュレーション領域のある辺の電磁場を、反対の辺に位相修正をしてコピーしています。

この位相修正の必要性は、次の動画に示されているように、角度をもった平面波の伝搬を考察することによって理解できます(動画は英文サイトを参照)。角度を持って伝搬する場合、一つの周期から次の周期への電磁場が、完全に周期的ではなく、それらの位相が多少異なっていることがわかります。ブロッホ境界条件は、この位相差を修正するものです。

角度をもった平面波の伝搬動画(英文サイトを参照)

バンド構造計算を含んだ他の使用

ブロッホ境界条件は、同一面波数ベクトル設定が重要な場合にも有用です。
例えばバンド構造計算ではブロッホ境界条件が使われます。

ヒントと追加情報

垂直入射での伝搬でのブロッホ境界条件使用の可能性

ブロッホ境界条件は、周期境界条件よりも、より一般的な形態として理解することができます。周期境界条件を使用したシミュレーションは、その周期境界条件をブロッホ境界条件で置き換えても正しい結果を与えます。この入れ替えを行った場合、ブロッホ境界条件は、0度の位相修正を適応します。これにより、一つの辺の電場を反対側の辺でもコピーします。しかしながら、コンピュータ的コストのセクションで述べるように、ブロッホ境界条件の使用は、周期境界条件と比較してメモリーと時間を余分に必要とします。

コンピュータ的コスト
ブロッホ境界条件を使用したシミュレーションは、それを使用しなかった場合のシミュレーションと比較して、メモリーと時間が2倍必要です。この増大は、ブロッホ境界条件を使用したシミュレーションは、複素数時間領域場を使用しており、それに対して通常の境界条件は、実数値時間領域場を使用することに起因しています。

複素数値時間領域場の使用の影響
コンピュータ的コストセクションで述べたように、ブロッホ境界条件を使用したシミュレーションは、複素数値時間領域場を使用しています。そのため、ブロッホ境界条件を使用したシミュレーションのコンピュータ的コストの増大に加え、モニターで保持されるデータタイプにも影響します。
Index monitors: 変化なし
Frequency domain field monitors: 変化なし
Time domain field monitors: 記録データは、実数でなく複素数です。状況に応じて、複素数値データを取得することは役に立ちます。虚数部分を必要としない場合は、単純にモニターデータの実数部を取って下さい。
Time domain movie monitors: 'Intensity’オプションが選択されると、動画は多少異なって見えます。場の各振動を見る代わりに、envelope functionをご覧下さい。これは、次の例で理解いただけると思います。

Equivalent complex valued field
Ex=e^(iwt)

角度をもった光源の広帯域照射

上でも説明されたように、ブロッホ境界条件は、場の位相修正を行っています。これは、Plane waves - Angled injectionページで説明されているように、広帯域シミュレーションに重大な結果をもたらします。追加情報は、Bloch BCs in broadband sweepsページをご覧下さい。
角度のついた広帯域照射に関しては、BFAST plane waveの使用を推奨致します。

平面波光源を使用したブロッホベクトルの自動計算
ブロッホ境界条件と角度をもった平面波を含むシミュレーションを行う場合、下の図に示されているように、“set based on source angle” オプションを使用して下さい。この設定は、ブロッホ境界条件を使用する場合のみ設定することができます。このオプションを使用しない場合は、kx, ky, kzをそれぞれ設定する必要があります。
ブロッホベクターのこのような設定は、バンド構造シミュレーションでは重要になります。